学びの生活|中村公平のブログ
劇団レトロノート代表ナカムラコウヘイの日々思うこと。

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#1473『杜町とかペッパージャムとか』

 

続きまして、劇団ハーベスト『杜町ペッパージャム』について。

これはですね、長くなると思いますので、副題で仕切りながらお届けします。

長いので、読まなくてもいいです(笑)

 

まず、全ステージ満員御礼でした!大変窮屈なお席でお客さまにはしんどい環境だったと思います。それにも関わらず終演後に「楽しかった!」とたくさんお声をかけていただきまして、もう感謝しかありません。本当にありがとうございました!

 

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◆プロデューサー広瀬咲楽

 

location-0432.jpg毎度のことですが、劇団ハーベストは本当に笑っちゃうくらい大変なんです(笑)今回ももちろん(^_^;)

今回も劇団員がプロデューサーを務めました。第4弾です。山本萌花→松永ミチル→高橋紗良に続き、今回は宮城県仙台市出身・広瀬咲楽がプロデューサーを務めました。もともと彼女は普段そこまで皆にものを申すタイプではないのですが、プロデューサーということで皆への声かけをはじめ、今までの広瀬咲楽とは違う顔をいくつも登場させていました。頑張りました(^ ^)

 

そうです、杜町の「杜」は杜の都・仙台の「杜」。タイトルからして広瀬色です(^ ^)

広瀬は俳優だけでなくシンガーソングライターとしても活動しています。劇団公演では劇中歌やテーマ曲を作っています。今作では最多の7曲を創りました。

 

そんな広瀬がプロデューサーなわけですから、今回のテーマは「演劇×音楽」。広瀬から「芝居と音楽を融合したい」というオーダーをもらいまして、作家の益永さんと何度も打ち合わせをして、吐きそうな日々を繰り返しながら(笑)、たどり着いたのが今作です。

 

 

◆LIVE×LIVEの模索〜MonsterGirlから〜

 

演劇と音楽の融合といえば「ミュージカル」があるわけですが、もともとあるジャンルをやっても意味がないわけで、かなり頭を捻りました。で、思いついたのが「LIVEを聴きに来たのか、演劇を観に来たのかわからなくなっちゃうような芝居」。生演奏というのもプロデューサーの希望でありましたので、演劇とライブの同時LIVE感が如何に出せるかが問題でした。

 

昨年、南青山MANDALAで「MonsterGirl」というSMA主催のライブイベントの演出をやったのですが、そこの更なる進化系というか発展系を模索しました。

 

昨年末の特別公演『ジェラシックパーク』もこの本公演へのステップとなりました。あの時は生演奏ではなく、いちアーティストの楽曲のみで構成してみるという試みをしました。これも「MonsterGirl」の発展系として模索した作品でした。ちょっとプロデューサー無視になっちゃったけど、結果的に高橋Pも喜んでいたので良しとします(笑)

 

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曲が作れる、しかもとてもいい曲の作れる広瀬咲楽というアーティストがいる劇団なんだから、もっと音楽を有効活用しなくては!というのが僕の中にずーっとありまして、「杜町ペッパージャム」でようやく少し思い描いている形が見えてきたかなという感じです。「MonsterGirl」→「ジェラシックパーク」→「杜町ペッパージャム」と益永あずみさんとタッグを組み続けられたのも、この新しい形を模索するのにとても有難かったです。益永さんもたくさんワガママきいてくれるから(^o^)/

 

当初、広瀬自身が「プロデューサーと音楽のみで参加するのもアリだと思っています」と言っていたんです。が、広瀬にもキチンと配役もあり芝居に参加する予定だったんです。がが、本格稽古に入る直前に『やっぱり広瀬は音楽隊のみ!』とひっくり返しました。結果、とてもバランスの良い状態になったので、良しとします(^ ^)広瀬のお芝居が観たかった方にはこの場でお詫び申し上げます(>_<)

 

益永さんの刺さる脚本と広瀬の素敵な楽曲があいまって、とても上質な「LIVE×LIVE」になったと思います。

 

 

◆スペシャルなゲストアーティスト

 

そして、この上質な「LIVE×LIVE」を実現させてくれた大きな要因はスペシャルなゲストアーティストのみなさま。

今回は俳優としてフル稼働してくださったMayuさん。劇中でも何曲も歌っていただきました。そして、パセリップス(架空バンド)のメンバーとして出演くださった蜜・橋詰遼さん、劇団レトロノート・岩崎健一郎。

 

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岩崎健一郎はこれまで6年間、劇団ハーベストのすべての楽曲のアレンジを担当してきまして、ついにお客さまの前に姿を現しました(笑)レトロでも舞台には登場していないのに!広瀬が楽曲を作る前の公演はテーマ曲なども岩崎が作っていたんですよ。まさにハーベストの影の立役者。おそらく200曲近い楽曲をこれまでハーベストに提供しております。

 

そして、蜜の橋詰遼さん。恐ろしいほどの美ボイス。作家の益永氏は一発でノックアウトされました(笑)橋詰さんの声で歌われる広瀬の曲の美しいこと!中日のアフターライブで披露された「東京」は僕が蜜の曲の中でもっとも好きな曲で、本当に感動しました。蜜は活動休止中ですが、ソロライブもありますので、ぜひライブハウスへ。

 

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で、Mayuさん。今回終演後にお客さまにもっとも聞かれた質問→『Mayuさんはもともと俳優さんなんですか?』。

違うのです、元々シンガーソングライターです。しかも舞台2本目です。それでも、メインの役に配役しちゃう自分と広瀬の勇気にも乾杯!でも、期待を大きく上回る俳優っぷりを発揮してくれたMayuさんを尊敬せずにはいられません。劇中での歌もとても素敵でした。Mayuちゃんは歌っている時の「目」がいいです、グッと言葉や想いを伝えようとする目が。それがキチンと演技にも反映されていたのです。だから、お客さまの心を動かすことが出来たのだと思います。

 

個人的にはMayuさんの歌を広瀬が歌い、広瀬の歌をMayuさんや橋詰さんが歌う。このコラボ感がたまりませんでした!

 

 

◆舞台とスタッフ陣の底力

 

今回公演を行ったアトリエファンファーレ東新宿。ここは、先月「山田ジャパン」がこけら落としを行った新しい劇場です。新しいが故にまだ色々と模索中の劇場でもあるのです。

 

今回の「芝居と音楽」という構成と、「奥行きはないけれど間口の広いステージ」を何とか濃密な空間にしたくて、変わった使い方をしてしまいました。新しい劇場なんだから、普通に使えよって感じですけど・・・(笑)

今後、アトリエファンファーレ東新宿に行く機会がありましたら、通常はこんな造りなんだとわかっていただけると思います。今回は美術プランナーがいなかったので、演出家として総合的に舞台を検討してああいった形になりました。多少観づらいお席もあったかと思います。申し訳ありませんでした。

 

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さて、僕が演出するときにいつも付いて下さるスタッフ陣にも今回は苦労をおかけしました。照明さんにも音響さんにも。

音響(岡村さん)なんて、ほぼ生演奏のPAで、芝居の音響らしい仕事がほぼ皆無というとんでもない事になりました。音響素材として出してもらったのは、カウベルと携帯の着信音のみ。あとは全て生演奏でしたから。しかも変形で客席を組んでしまったものだから、音のバランスを組むのに相当苦労されていました。もうしわけないっ!

 

あとは、お気付きの方がどのくらいいたかわかりませんが、岩崎君の弾いていたアップライトピアノ。あれは、本物のピアノではありません。美術協力で入ってくれた仁平祐也さんが作ってくれたダミーのピアノ。中にはシンセサイザーが仕込んでありました。

8年前に劇団レトロノートの舞台で一度登場したことのあるダミーピアノ、「当時のまだある?」と仁平くんに聞いたところ、リメイクして提供してくれました。本当に素晴らしい出来です。その他、カウンターやレンガの柱など、協力の範疇を大いに越えたお力添えをいただきました。

 

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もちろん、制作のSMAの皆さまにも大変尽力いただきまして、色々とやらせていただきました。久しぶりにこんなに長く公演後期を書いたのも、自分的に何か新しいスタートが切れるような気がしているからかもしれません。

 

劇団ハーベストも6年目に突入しましたが、まだまだ発展途上の劇団です。でも、発展途上だからこそ出来るチャレンジがあると思うので、そこを彼女たちなりに模索していくのではないかと思います。

歌ったり踊ったりが専門外な若い女子たちの劇団って、なかなかないと思うので、より本格的に演技のクオリティを上げていけるように切磋琢磨できればと思いますので、今後とも劇団ハーベストへのご声援をお願いいたします。

 

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というわけで、とりあえず、まとめ終わり!

【2017.04.03 Monday 20:40】 author : レトロナカムラ
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コメント
チャレンジング&リスクコントロール
公平先生を見ていて「この人の頭をスライスして中身を覗いてみたいと思うこと」は、「3次元空間での空間認識をどのように考えているのだろう?」ということにつきます。
コンピューターが発達していなかったベトナム戦争まで、戦闘機における搭載機関銃の射撃は、自分の機のマニューバリング(空中移動機動)と、相手機のマニューバリングから予想される「未来修正位置への射撃の計算または予測」にかかっていました。
つまり、弾丸が到達するときに敵対機がいるであろう何もない空間に向かって射撃するということです。いま敵対機がいる場所を狙って射撃しても、弾丸は自機の慣性に影響されるし、相手機は弾が到達する間にどっかに行ってしまう。
このことが分かっている人って、意外と少ないのですよね。
このことを理解できる公平先生は、「板の上にいる全員の挙動をコントロールして、役者個人の演技以外の、位置移動動作を司っている」毎回その緻密さに驚かされます。
浅草九劇のことをお話ししたときにはこの配置プランが出来上がっていたのですね。
パセリップスの演奏は幕間の転換ではなく物語の補完だったので、演奏の都度観客の視線が移動するのは惜しいと感じました。舞台横席のスペースにバンドを持ってこなかった理由が知りたいと思いました。
ベコタンズの物語りとパセリップスの独立、東新宿サムライと杜町pepperjamが離れていることは、あの位置で確保されていることは確かでしたが。照明の切り替えで独立を確保することを考えられなかったのかな?と。

ハーベストのメンバーの面々は「自分たちが常に新しいことにチャレンジしている」ことに気が付いているのでしょうか?
チャレンジングすることの意義。チャレンジングしていることの誇り。
このことの自信が、周りの大人に支援されながら新しいものに挑み続けている勇気が、自分を売り込むことへの材料になるということをはっきり意識してほしいと思いました。

それと、なんで、自分がここまでハーベストに肩入れするのかやっとわかりました。
彼女たちは「歌ったり踊ったり」が本業ではなく、れっきとした俳優さんだからなんですね。土屋太鳳さんが名も知られず公開され閉幕する超ローバジェット映画に出演を続けていた時と同じなのだと判りました。
| マーセナリー | 2017/04/04 5:22 PM |
マーセナリーさん

いやいや「激談ハーベスト」の時はまだ決まっていなかったんですよ、実は(^_^;)
新しい劇場すぎて、劇場図面もろくにない状態でしたので、現場に入って、それこそ「激談ハーベスト」のイベントが終わってから実寸を確認して一気に練り上げたというのが本当のところです(>_<)

パセリップスの位置に関しては皆さん「そう思うだろうな」と思いつつ、演出としては最善の位置があそこだったということなんです。

種明かしみたいでちょっと恥ずかしいですが、僕は演出をする時に「お客さまの視線の誘導」に重きを置いています。舞台の良さは「お客さまが好きな所を好きなように観られる」事です。一人の役者をずっと追いかける事もできますし、セリフを話していない人をずっと見続ける事もできる。

でも、最初から自由度高く見てもらいすぎると物語を理解しづらくなってしまいます。なので、初めて観る方には違和感なく物語を追い続ける事ができる視線の誘導がとても重要なわけです。それを検討すると、ミザンセーヌも嫌でも計算しなくてはいけなくなるわけです。

で、パセリップスですが、劇場の仕様上、パセリップスが出はけするのは困難な状況でした。ミュージカルのようにオケピがあれば別ですが、今回はミュージカルではないですし、パセリップスも重要な登場人物でしたから、見えない陰に隠すわけにはいきません。

そこで舞台下手にパセリップスを置くという案も考えました。しかし、それでは常にお芝居を観ているお客さまの視線の端に彼らがずっと映り続ける事になります。これは、お客さまにとってもパセリップスにとっても過酷な状況で・・・(笑)

というのは、パセリップスが少しでも動けば、必ずお客さまの視線はバンドエリアに移ります。そのタイミングで重要なセリフでも吐かれようものなら全て台無しです。かといって、パセリップスに微動だにするなとも言えません(笑)

お芝居が進行する中でお客さまの視線が変にぶれる事なく、かつ少し向きを変えれば観られる位置という事であそこが私にとってのベストポジションだったというわけです。理想は、座面が回る客席だったのですが、キャパ的に会場の構造的にそれは不可能でした(>_<)

まだいくつか理由はあるのですが、さらに長くなってしまいそうなので止めておきます(笑)
簡単に書くと、間口の広さと死角の問題です。


彼女たちは俳優としても人としてもまだまだ発展途上です(^ ^)
年齢を重ね、だんだんと社会の中で生きていく事でさらに俳優としても人としても磨きがかかっていくと思います。その時に今回のお芝居の中で益永さんが書いた周りにいる「大人の感情」とか「チャレンジさせてもらい、自分の材料を増やし勝負する事」を学んでいくのだと思います。

確かに太鳳ちゃんも細かな作品にたくさん出ていましたね。
SMAという事務所の根気と基礎地盤作りを重視する姿勢にただただ感服するばかりです。

長くなりましたm(_ _)m
| レトロナカムラ | 2017/04/05 4:39 PM |
ミザンセーヌ:
過去の映画批評に出てくる用語で、永らく“ミザンテーヌ”と間違えて記憶していました。
英語ではなく、フランス語なのですね。
Wikipediaを引き直してみたところ、映画用語ではなく、元は演劇から出露した言葉だと初めて知りました。お恥ずかしい&#128517;

ただ、先生の用い方は「カメラに映る範囲」という私の解釈に近いでしょうか?
用例には、「舞台上に置くもの全て又はその配置」とあったり「舞台上の配置演出」等とも表現されていました。

「舞台上の何処でも観ることが出来る」先生にとっては長所なのですね&#8252;&#8252;&#8252;
私は「舞台上の何処でも見えてしまう」として、映画に比べての弱点だと考えていました。
クローズアップも切り返しも部分拡大のミスリードも使えない、俳優の強調に頼る弱点だと。

「自由が有る」と考えることなど思いもしませんでした。
「ああ勘違い」は、「最高の食卓」以来でしょうか?

確かに視界の端に常に“バンドメンバーの存在”が在ったら、ちらついて集中出来ませんね。
「広角の視野」を誇る自分は特に。
丁寧な解説ありがとうございました。
映画同様「見せたいモノをみせる」のが、ミザンセーヌ。
本筋に影響を与えない配置、だということで宜しいでしょうか?

配置の確定が“激談”後。=ヒロサラさんの“カホン練習”が十日。
ヒロサラさんがカホンを使ったのはもしかして“スペースの都合?”またもや、恐ろしい力業が頭に浮かびます(笑)

初めて観る「主演:中村公平」楽しみにしています。
| マーセナリー | 2017/04/05 10:59 PM |
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